琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞がそう言うと、


「私には王族の務めは判りませんし、本来ならヌール様が適任かと思われますが……」


シャムスも顔を顰めた。


ヌール妃は住み慣れた後宮を出て、新たな生活を始めたばかりだ。

ライラもそうだが、やはり年齢的に考えたらヌール妃のほうが大変だろう。そんな時に我がままは言えない。 


(あーもう……ライラしかいないわけっ!?)


舞がため息をついた時、足元に黒い塊が飛びついて来た。

舞はビックリして振り払おうとしたが、なぜか足にしがみ付いたまま離れない。


(犬? ネコ? サルッ!?)


その物体は舞が想像したモノとは全く違い……なんとヨチヨチ歩きの子供!

濃いブラウンのふわふわの巻き毛をして、青い瞳で舞を見上げ、ニッコリと笑った。


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