琥珀色の誘惑 ―王国編―
「って言うことなんだけど……」


ミシュアル王子に話すと、彼は片笑みを浮かべた。


「なるほど、そういうことか」

「そういうって?」

「決まっておろう。婚約者の体を想像しながら男がすることと言えば……」


舞の耳元でミシュアル王子がコソッと囁く。


その恥ずかしい単語に、舞は瞬く間に真っ赤になった。


「ア、アルのえっち!」

「心配致すな。私はお前の身体しか想像してはおらぬ。それも、後しばらくの辛抱だ」


後ろから抱きしめられ、舞はミシュアル王子に身体を預ける。


舞は、ターヒルも男なのね、と思いつつ……「でもねぇ、あのお土産はちょっと」と思わず声にしていた。


「欲しいのなら、次の機会に幾らでも買ってやろう」

「い、いやあ、私はいいよ。だってアレって」


(……かんざしだもの……)


黒髪に朱色の珊瑚玉はとても綺麗だと思う。でも、なんか違うぞ、と苦笑する舞だった。



                   ~おしまい~


(第2部23話前後のお話)

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