琥珀色の誘惑 ―王国編―
三時間後、受け渡しを終え、そのままとんぼ返りで帰国しようとヤイーシュは空港に向かった。


彼の胸に黒髪の日本人女性の姿が浮かぶ。

名前を名乗ったほうが良かったのだろうか。少しだけ後悔の文字がよぎった。これは運命の出会いだったのかも知れないのに……。


帰りはコーヒーショップとは逆の空港入り口から建物に入ろうした。

そんなヤイーシュの目に一人の女性が飛び込んで来る。


(彼女じゃないか! パスポートが戻ったのだろうか? これはやはり運命なのだ)


『アッラーの思し召しのままに』


彼は口の中でその言葉を唱えた。


ヤイーシュらしくなく、ウキウキした足取りで女性に近づく。


だが、何かおかしい……彼女は一人の観光客らしい金髪男をジッと見ている。

その金髪男が彼女の存在に気付いた瞬間、一人の男が彼女にぶつかりバッグを奪い取った!


< 506 / 507 >

この作品をシェア

pagetop