吐息が愛を教えてくれました


力強い言葉を投げかけられて、ごまかすことも、無視することもできないと感じた。

テーブルに両手で頬杖をつきながら、まっすぐな視線を私に浴びせる様子からは、昨日今日で思いついたことを今話しているんじゃないと、簡単にわかる。

真剣に、自分の気持ちを私にぶつけようとしている千早から、視線をそらすことも、逃げることもできない。

普段から座りなれているはずの椅子なのに、何故か座り心地が悪く感じて、小さく体を揺らした。

そんな私に反して、微動だにしない千早に萎縮してしまう自分がいる。

緊張感に満ちた時間がしばらく続いて、千早はすっと体を伸ばし、姿勢を正すと。

「俺は、自分の手で自分の幸せを掴みながら生きているんだ。
誰がどう思っていようが、たとえ実里が大いなる勘違いに苦しんでもがいて顔を歪めていても、それでも俺の幸せは自分で決める。
そして、俺の幸せは、実里と一緒に生きることだ。一生な」

強く、そしてぶれない口調でそう呟いた。

高校時代から、学年で一番に目立つタイプではなかったけれど、整った顔立ちと、笑うと途端に幼く見える表情は女の子からの注目を浴びていて、勉強もスポーツも、そつなくこなしていた。

そんな千早が大人になって、そして今では「遺伝子」について大学で勉強している。

見た目も成長し、笑うと幼いどころか妖艶な男らしさも含ませるまでになった。
大学でも人気があるということは、疑うまでもない。

金曜日に千早と一緒にいたかわいい女の子だけではなく、きっと、たくさんの女の子から思いを寄せられているだろうし、その気持ちを告げられることも多いはずだ。




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