吐息が愛を教えてくれました


千早の顔が、次第に滲んで消えそうだ。

目の奥がどんどん熱くなって、ぐっと力を込めてこぼれそうになる涙を我慢するけれど、でも。

あふれ出る素直な感情を止めることはできない。

好き。好き。千早が、大好き。

頬を伝う涙が、それまでぎゅっと引き結んでいた唇を濡らした瞬間私の中の何かが弾けた。

「ち、ちはやあっ」

「うわっ、何無茶するんだ」

焦る千早を無視して、私はどうにかテーブルに上り、そのまま千早の体に抱きついた。

無理矢理千早の首に回して、その肩に頬を寄せてわんわん泣いた。

それこそ、迷子になった幼稚園児が、ようやくお母さんに会えた時にほっとして泣きだすように、大声をあげて泣いた。

ようやくたどり着いた千早の愛情を確認したくて、溢れる涙はとまらない。

次々と頬を流れ落ち、千早の首筋を濡らしていく。

千早は、不安定な私の体勢に「おいおい」と呟きながらも、どうにかその手を私の背中に回した。


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