繋がれた糸 (短編)
次の日も仕事終わりに
亮輔と会う約束をしてた。
連日会うのは久しぶりで
亮輔を待っている間
文人への言い訳を考えてた。
「実沙季」
あたしを呼ぶ愛しい人が
傍にいたことにも気づかなかった。
「お前、なに考えてた」
眉間にシワを寄せる亮輔。
怒ってるってすぐに分かる。
「…星が綺麗だなって」
「嘘つくな」
亮輔はずるい。
あたしは、亮輔といる時
亮輔のことばかり考えてるのに……
亮輔はあたしじゃない人を
常に頭に思い浮かべてるくせに……
「オレじゃないやつのこと考えてんじゃねーよ」
あたしは許されない。