嘘つきな君からのキス
むう。っと口を尖らせて見せていると、三神くんは問いかけてきた。
「怒った?」
怒ったつもりはない。しかしながら、戸惑いはした。困った。
三神くんがそう聞くならそう答え、困ればいい。なんて、無理なことは知っていたはずなのに。
「……怒った」
三神くんはいつも上手なのだ。
「ごめんて」
そんな軽い謝りで。
「っ!?」
「しー」
叫び出すよりも前に私を制止して。
三神くんは頬に唇を寄せた。
「ごめんねのキス」
そんな簡単に。
それを私は怒ることなんてできなかったのだ。
だって私は……