嘘つきな君からのキス

良かったと息をつくすぐ側。小刻みに体を振るわせている三神くん。

不審に思って見れば口に手の甲を当てて、必死に笑いを堪えていた。


「三神くん……？」


小さな声で問い掛ければ返ってくるのもまた小さな声。


「逢坂動揺しすぎ」


どうやら私の事で笑っていたようで、失礼にも程がある。此方はバレないようにと思っていたと言うのに。


「ひ、酷い」

「ごめんて。でも、こう言うの楽しいかもしれない。この緊張感」


三神くんに緊張感を微塵にも感じられない場合、どう対処すべきだろう。最も私じゃ相手にならないんだろうけど。

緊張感云々よりも、きっと強いのは楽しさ。私とは全く違う精神の持ち主なのは明確だった。