嘘つきな君からのキス


「……」

「逢坂」

「……」

「逢坂ってば」


名前を呼んでくる三神君を無視して、少しばかり痛む足を速く動かす。

といっても普段が遅いから人並み程度の速さになった位だけれど。


「そんなに怒る事ないじゃん」

「だって……!!」


足を止めて振り返って、言いかけて止める。

三神君にとってはそんな事になるのだろうけれど私にとってはそんな事ではない。

二人だけならいいと言う訳でもないけど、今回の事は取り分けて悪質だ。

第三者が居る中での羞恥と言うだけでなく、どう考えても私を使って真島君を撃退したのだ。

悪質で、面白くない。


「だって。何?」


それ以上に、悔しいだなんて。悲しいだなんて。

言えるわけがない。


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