嘘つきな君からのキス
「もーー朱さん!僕がゆずるんに怒られるんだから、二人の邪魔しちゃ駄目だってばーー」
ようやく後ろから追いついてきた鳴瀬君を無視して、ジロジロと私……いや、私の後ろにいる三神君を観察し始める。
その後ろでは、「二人は放っておいて帰ろうよーー朱さん!」と腕を引っ張って鳴瀬君は促すのだけれど、朱は断固として動く気はないようで無視をし続けている。
「……三神君。玲雨泣かしちゃ駄目だからね」
そんな様子の朱がようやく発したのはそんな言葉だった。
何かを察したのか、察していないのか。
どちらにしろ、朱には三神君も鳴瀬君もいない時に追々話をしておかないといけない。心配掛けてしまっているし。
でも、今は帰ろう。
「朱も鳴瀬君も、一緒に帰ろう?」
「えっ、いやあ…僕と朱さんは……「うん。帰ろう帰ろう」」
何か言った鳴瀬君を制して、朱は歩きはじめ、鳴瀬君も渋々歩きはじめる。
必然的に二人の後を付いていく形となるのだけれど、その前に、三神君に手を引かれた。