嘘つきな君からのキス
私の踏ん張りなんてたかが知れてるけれど、それでも三神くんは足を止めてくれた。
「あの……そうじゃなくて……だから、私は……っ!?」
保健室での出来事のように口を手で塞がれる。
「言わせない」
静かにそう告げて、目だけでさらに言葉を伝えて来たような気がした。
それが何なのか私には分からない。
でも、もう喋っちゃいけないのは分かる。
言葉を伝えられない状況に困り果てた私は目を伏せた。
「どうあっても、この権利は手放す気はないから」
“この権利”と示すのは繋がれた手。
一層強く、握り締められた。