嘘つきな君からのキス


真っ先に飛び込んで来たのは瞑る前と変わらない無表情。

何故か変に思い、両目で姿を捉えた。

次いで、三神くんは考える素振りを見せる。も、それはきっと素振りだけだったのかもしれない。


「無理」


一言でバッサリと言い捨てるのだ。そこに何の感情を入れ込まなかったかのように。


「む……っ!無理って……言われても……三神くんにだって、失礼、だし……」

「帰ろっか」


もう既に聞く耳を持たないのか私の指と指の間に指を滑り込ませて歩き始めた。


「っあ……」


ヒンヤリと冷たい手。


まだ熱ある……。


と、ハッとして出来る限り踏ん張った。



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