嘘つきな君からのキス


けれど流石にそれ以上は悪化しないようで、何とか放課後までやってこれた。

と言うのに……。


「……」

「……」


パチン。パチン。と、教室内に響き渡るホッチキスの音。

隣を見れば、スムーズな作業でプリントを纏めて止め続けている三神くん。表情からではどう思っているのかは読めないけれど、嫌に思われてない事を願うばかり。

と言うのも元々、たまたまそこにいた私が先生に頼まれた仕事で、朱に手伝ってもらう予定だったのがどう言う訳か三神くんに無理矢理押し付けて帰ってしまったのである。


でもあれは楽しんでた。だって笑いながらこっちを見て親指立てて帰っていったもん。


思わず溜め息が漏れそうになるのを我慢。

とにかく、自分のを早く終わらせて三神くんに渡した分も手伝おう。



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