嘘つきな君からのキス
そう意気込んだ所まではよかったのに、彼は私の倍のスピードで仕事を終えていた。それも完璧に。
「……逢坂って、やる事結構見た目通りだよね」
「うぅ……っ。ごめんなさい」
カッコ悪過ぎて、嫌みだと思われる言葉に反論すら出来ずに焦るだけ。
ワタワタとする私を見兼ねたのか、三神くんは徐に私の分のプリントに手を伸ばす。
「あ……っ、やらなくてもいいよ。それに、もう帰ってくれていい……から」
「もうやる事に決定したから。……それとも迷惑?」
パチンと弾ける音が合図かのように私は全力で首を振る。
「めっ迷惑じゃないよ!逆に私の方が迷惑なんじゃないかって……」
次第に声は小さくなる。