嘘つきな君からのキス
「よしっ……と」
軽快に最後のプリントを止め、全てのプリントを一つに纏める。
さあ、職員室に持っていこうと手に取ろうとした紙山は独りでに浮いた。
いや、持ち上げられたのだ。
「これ、職員室?」
「う、うん……?」
「りょーかい」
戸惑う私を他所に三神くんはプリントを持ったまま歩き始める。が、当然見過ごせる訳がなかった。
「ま、待って!そこまでしなくても……う、わわっ!?」
慌てて彼を引き止めようとしたためか、机に足を引っ掛けて前のめりに転ぶ。
反射的なのか何なのか、伸びた腕は三神くんを掴んでいて。
「っ!?」
彼は叫びこそは上げなかったが、代わりのように響くのは重音と軽音だった。