嘘つきな君からのキス
ギュッと目を瞑ると大粒の涙がボロボロと落ちていく。本当に私は何をやっているのか。
「ごめん」
泣いた私にふわり、と頭を撫でる手。相変わらず冷たさが伝わってきていた。けれど、今の私には丁度いい。
「ちょっとからかい過ぎた。たかだか額にするくらいで……」
「へ?」
「?」
額……?額、額……オデコ……。
「っ~~」
とんだ勘違いをしている事に漸く気付き、頬を自分の手で覆う。
キスって言うから、唇にするんだとばかり……!そんな訳ないじゃない……!
「逢坂?」
「な、なな何でもないっ!」
この手の話題をお仕舞いにしてしまいたい気持ちから、周りに落ちたプリントをがむしゃらにかき集めたのだった。