嘘つきな君からのキス


ギュッと目を瞑ると大粒の涙がボロボロと落ちていく。本当に私は何をやっているのか。


「ごめん」


泣いた私にふわり、と頭を撫でる手。相変わらず冷たさが伝わってきていた。けれど、今の私には丁度いい。


「ちょっとからかい過ぎた。たかだか額にするくらいで……」

「へ?」

「?」


額……?額、額……オデコ……。


「っ~~」


とんだ勘違いをしている事に漸く気付き、頬を自分の手で覆う。


キスって言うから、唇にするんだとばかり……!そんな訳ないじゃない……!


「逢坂?」

「な、なな何でもないっ!」


この手の話題をお仕舞いにしてしまいたい気持ちから、周りに落ちたプリントをがむしゃらにかき集めたのだった。





< 71 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop