嘘つきな君からのキス


そんな日の帰り道。流れからか三神くんと肩を並べて歩いていた。


「逢坂って結構頑張るよね」


会話なんて唐突が普通なのかもしれないと思うようになってきた最近。今がいい例だ。

なので慌てる事なく返事を返した。


「何の事?」

「ちょっと、止まって」


何の意図があるのか。だが、言われた通りにピタッと動きを止めて三神くんの方に向き直る。

と、


「っ……」


スルリと前髪の間に手が滑り込んできた。

冷たい。けど、気持ちいい。


「ほら、やっぱりちょっと熱い」

「わ、私、言ってないのに……」


朱にも見抜かれたけれど三神くんにも見抜かれるなんて思いもしない。

上目遣い気味に彼を見やるとパチリと目と目が合った。瞬間、コンマ一秒もない間にトクンと心臓が感情を主張しだしだ。


「よく見てたからね。分かるよ」


主張はさらに大きく、激しく、私を内から叩いた。





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