嘘つきな君からのキス
双方の映画とも終りは大体同じで、映画館を出る頃には暗くなっていた。
「んんっ。あー面白かった。ね、玲雨」
「うん。素敵だった」
まだ物語の中に居るようで、フワフワと浮いたような感覚。
やっぱり、話題なだけあって面白かった。よりも、ドキドキした。
「玲雨、途中から泣いちゃってたしね」
「な、泣いてないもん!」
「れーちゃんらしいねー」
「また泣いたんだ?」
「「……また?」」
二人が二人とも、話として流す事なく以前もあった事を示す単語に食いついた。
泣いたのなんだのを言われるのは好きではなく、話を転換させる為に慌てて会話を振った。
「そ、そっちはどうだったのっ!?」
慌てていたために、しまった。と思った時には既に遅い。