バット・インソムニア
異変に気がつくのにそう時間は掛からなかった。

風で木が鳴る音と川が流れる音。

それに混ざって聞こえてくる何かの息づかい。

自分のものではない生き物の気配。

よく耳を済ますと別の音も聞こえてくる。

か細く乾いていて甲高い。

金属がアスファルトに擦れるような音だ。

怖くなってその日は目が覚めた。

汗でへばりついたTシャツがさっきの不気味さをまとっているみたいで気持ち悪かった。

それから毎晩、川沿いの街灯の下、誰かの息づかいと金属音、夢だと解る夢を見続けた。


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