ふたり。-Triangle Love の果てに


次の週、私は仕事に戻った。


そこでお兄ちゃんがシトラスとYesterdayにやってきて、私のことを聞いて帰ったと知った。


そして泰兄のことまでも。


「勇作くん、何か調べてるみたいだったよ」とマスターが腕組みをする。


「あ、相原さんが圭条会の人だってことは伏せておいたけどね」と慌てて付け足した。


「もしかしたら、相原さんが撃たれたことを新聞社がかぎつけたのかもしれないわね」と恵美さん。


確かその件は、圭条会と県警の捜査官の間で内密の取引があったと鶴崎組長が言っていた。


「マスコミにしてみたら、事件として発表しない警察を不審に思うわよね。暴けばものすごく大きなスクープよ」


恵美さんの口調は軽かったけれど、表情は厳しかった。


「ね、真琴ちゃん。相原さんのとのことを反対する気はないの。ただ、ああいう世界の人だから気をつけてね。あなたにまで危害が及ぶことだってあるかもしれない」


彼女の言葉に、マスターもうんうん、と頷く。


「いい?ここまで踏み込んだのなら、覚悟を決めてとことん幸せになるのよ。でなきゃ、なくなったあなたのご両親に私たち、顔向けできなくなっちゃう」


「ありがとうございます」


私は胸が熱くなった。


普通なら、あんな世界の人と恋におちるなんて、反対されるに決まってる。


だけど、私には見方になってくれる人がなんて多いんだろう。


このYesterdayのマスター夫妻、シトラスのゆり子さん。


天宮先生もさすがに「おめでとう」とは言わなかったけれど、「幸せになれよ」と笑顔を見せてくれた。


幼なじみで大親友ののぞみだって、「まあ反対したところで、どうにもならないから応援しちゃう」って。


ねぇ、泰兄。


私たち、幸せになれる?


なれるよね?


今まで苦しんだ分、絶対に幸せになろうね…


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