薄紅のリボン

パンケーキ

 ピピピピ!
枕元で、携帯のアラームが鳴る。目覚まし時計代わりに 毎日同じ時間に鳴るようにセットしてある。

今日は土曜日。
忙しかった1週間が終わり、休日出勤もない久々のお休み。外は、昨日の雨が嘘のように晴れている。埃っぽかった木々は、たっぷりの雨で洗われて 葉先に水滴を垂らしている。

日差しが、窓際のベッドで毛布に頭まで包まっている彼女に 降り注いでいた。

 ピピピピ!
まだ夢の中を漂っている結衣を無視して、アラームは 鳴り続けている。
毛布の中から、白くて細い腕が伸びて 音源を探る。
 ピピピ・・・プッ
携帯のボタンを押し、音を止めた。土日関係なく アラームをセットしているので、こんな朝も 珍しくない。

いつもなら、アラームに起こされても 休みの日は、また二度寝して ちゃんと起きるのは、お昼過ぎだ。

でも、結衣は ベッドの上で、むく!と勢い良く上半身を起こした。

ぼーっとしたまま、部屋を見渡す。

いつもと同じ。小さなテレビにラックには、本や小説 女性雑誌。二つの可愛いウサギのぬいぐるみは 手のひらサイズ。
白いふかふかのラグは、大きめで 真ん中に白くて丸いテーブルが乗っている。
テーブルの上には、昨日読んでいた本が置かれたまま。

明るい部屋はちいさめで、大きな家具は置けなかったので、組み立て式のボックスをいくつか置いて そこに収納していた。あまり荷物もなかったので、事足りていた。

白いうさぎのスリッパを履いて、ぺたぺたとトイレに向かう。
引越しの時手伝ってくれた親友の美香には、「いい年して、そんな子供みたいなスリッパ、やめなよ」と言われたが。
 白くてふかふかのスリッパは、履いても見ていても癒される。すぐに汚れてくるのが難点だけど・・・。
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