妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
『おいらのせいなの? 右丸、死んじゃう?』

 烏丸の声は、今にも泣き出しそうな湿り気を帯びる。
 妖である烏丸にも優しい右丸に、懐いているのだ。

「・・・・・・どーすっかな。烏丸、お前、まだ具合は治らないのか?」

 烏丸は瀕死の状態で右丸の中に入っていたのだ。
 が、それから随分経っている。
 回復していても良い頃だろう。

 おそらく、烏丸の回復に伴って、妖力も強くなり、そのために器である右丸に影響が出てきたのだ。

『もう大分良いの。でもね・・・・・・』

 言いにくそうに一旦言葉を切り、烏丸は困った声を出した。

『出られないの』

「・・・・・・あぁん?」

 思いきり片眉を上げるそはや丸の、その凶悪な表情に、烏丸はびびったようだ。
 ‘ひっ’と、小さく息を呑む。

『お、おいらだって、回復すれば出て行くつもりだったのよ。そろそろ右丸から出て、飛ぶ練習もしなくっちゃと思ってたんだけど、何でか右丸から出られないの。まだ回復してないからかしらと思ってたんだけど・・・・・・』

「はぁん。お前、右丸を食ってるのか」

『違うよぅ! おいら、そんなことしてないよぅっ!!』

 うわぁん、と泣き出す烏丸。
 烏丸は泣いているが、目の前の右丸は相変わらず苦悶の表情だ。
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