妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 そはや丸は、やはり乱暴に右丸を転がして仰向けにすると、その額に手を当てた。

「烏丸、右丸の意識はどういう状態だ? 出せそうか?」

『・・・・・・えっく。ど、どうかな。えっと・・・・・・』

 どうやら泣きながら、右丸の意識を探っているようだ。
 んしょ、んしょ、と小さな声がしばらく続き、やがて右丸が、薄く目を開いた。

「・・・・・・うっ・・・・・・痛・・・・・・」

 頭を押さえながら、右丸が上体を起こす。
 そして、一つ息をついて、立てた膝に頭を埋めた。

「・・・・・・右丸だな」

 そはや丸の声に、右丸はびくんっと肩を震わせ、勢い良く顔を上げた。
 驚いたように、目の前のそはや丸を見る。
 今初めて、そはや丸がいることに気づいたようだ。

「な、何故あなたが・・・・・・」

 ぽかんとそはや丸を見た後、はっとしたように周りを見回す。
 その行動に、そはや丸は、ふんと鼻を鳴らした。

「残念ながら、呉羽は来てないぜ」

 そはや丸の言葉に、右丸はカッと赤くなる。
 そんな右丸に、僅かに眼を細め、そはや丸は止めとばかりに重ねて言った。

「俺が一人で仕事することは、まずないんだがな。今回は呉羽のたっての頼みだ。ま、あいつがあれほど頼るのは、俺だけだからな」

 後半部分をことさら強調する。
 しかも、そはや丸はいつも出任せを言っているわけではない。
 事実を、ちょっと違う風に取れるように言う。
 事実なだけに、最も性質が悪いかもしれない。
< 36 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop