妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 さすがに名家のお姫様に仕えていただけある、非の打ち所のない所作である。
 そはや丸は、少し目を見張った。

---ほぉ。呉羽もこれぐらいしてみりゃ、捨てたもんでもないのになぁ---

 女官の仕草には目を奪われたものの、それはその仕草を呉羽に重ねて見ているからであって、そはや丸が他の女に目を奪われることはない。
 それがどういうことか、そはや丸はわかっていない。

「あの、右丸の様子は・・・・・・? 何か、わかりましたのか?」

 ようやくほたると名乗った女官が、袖で少し顔を隠しながら言う。

「お前さんと右丸は、何ぞ関係があんのかい。身分も違うようだが」

 女官の問いは無視し、そはや丸は全然関係ないことを口にした。
 そはや丸も呉羽同様、いやそれ以上にヒトの身分などに興味はないが、見た感じだけでも、女官と右丸の身分は違うとわかる。

「一応わたくしのほうが、上になりますが。でも筒井筒(つついづつ:幼馴染みのこと)というのですか。こちらに上がったのも、早く親を亡くしたわたくしを厄介払いしたかった養父母の考えでしたから、とにかく御半下仕事でもいいからということで、まぁ、結構辛いことも多かったのです。そんなわたくしにも、右丸は優しくしてくれましたのでね。年下でしたけど、良い子でした」

 そはや丸は黙っている。
 何となく聞いてみただけで、はっきり言うと、人の生い立ちなどに興味はない。

 まして右丸が良い奴だとか、言われなくてもわかっている。
 認めたくはないが。

 憮然とした表情のそはや丸を、女官は違う意味に取ったらしい。
 心配そうな顔になる。
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