妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
「あの、もしかして、右丸の具合は悪いのでしょうか」

 おずおずと言う女官から、そはや丸は、ついと視線を逸らした。

「人の体調がどんなもんかなんぞ、俺にはわからん」

 素っ気なく言う。
 そして、素早く女官の手を掴んだ。

「とりあえず、俺は呉羽に頼まれたことを成すだけだ。右丸よりも烏丸のために、お前を使う」

「なっ何をなさいますっ」

 両手首を拘束され、女官は顔を赤らめた。
 何か勘違いをしているようだ。
 気位が高いくせに、地下人であるそはや丸に迫られていると思っている。

「そ、そんな・・・・・・。このようなところでっ」

 赤い顔のまま、女官は辺りを見回す。
 ここは渡殿の途中だ。
 いつ誰が通るかわからない。

 時刻が時刻だし、場所も屋敷の外れだから、そうそう人は来ないだろうが、女官の考えるとおりならば、今この場ではまずいだろう。

 というか、裏を返せば場所を変えれば良いということか。
 気位が高いだけに、見るからに己より下の身分の者に言いたいことを言われて、返って参ってしまったのかもしれない。

 そはや丸は、ちょっと目を見開いた。

「・・・・・・何を考えてるんだ。あんたは右丸が心配なんだろ」

 呆れ気味に言うそはや丸にも、女官はただ視線を彷徨わすばかりだ。
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