妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
---ちっ。何でぇ、この調子じゃ、恐怖するどころか、後々まで引き摺ることになりかねん---

 心の中でしたはずの舌打ちが、知らず口から漏れる。
 女官はそれに素早く反応した。

「ああ、軽蔑なさいますな。確かにわたくしは、右丸が心配故、単身蓮台野まで出向いたのです。それもこれも、あのような状態でなお、右丸が呉羽様を呼んだからで。幼い頃よりわたくしを気にかけてくれていた右丸が、よもや他の女子の名を口にするとは。そう思い、その外法師をこの目で確かめるため、呉羽様のところへ行ったのです。それが、ああ、何と言う・・・・・・」

 脱力するそはや丸の手を振り払い、女官は顔を覆ってその場に突っ伏す。

「まさかこのわたくしに、官位もないくせにこのような態度を取る殿方がいるとは。地下人は、わたくしに一喝されれば途端に小さくなります。このお屋敷の雑色でさえ、そうですのに。あなた様は、他の殿方とは違う・・・・・・!」

 悶える女官に、そはや丸は思いきり胡乱な目を向けた。
 女官はそはや丸に惹かれたということだ。

「・・・・・・面倒臭ぇや」

 何と言っても、そはや丸は物の怪である。
 しかも刀。
 そもそもが人型でないので、色事などにも興味はない。

 人の色事を引っ掻き回すのは好きだが、自分に降りかかると、途端に面倒になる。
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