姫は救うと微笑み、神は殺すと無邪気に言った
手の平を見ながら、今もなお、その少女が茶神の思うがままになっていると暗示しているようだ。
「生きるとは死ぬことよりも生易しくなんかない。それでも幸せだと言う輩はいるが、そんな奴に限ってこそ小さな苦悩が目立つんだ。
苦悩に溢れたあの少女とて、生き長らえたと喜んだかもしれないが、これから歩む道のりが平地のままなわけもなく、難所にぶつかりまた苦悩する。
『あの時、死んでおけば良かった』だなんて慟哭するのもまたいい。愛でるべき醜さだ。どうせ少女は死にやしない、“あの時に”死ねなかったのだから。
それでもまた、僕のところに来るならば、相手してあげてもいい。奴隷ぐらいには使えそうだ」
手のひらを握る。物など持っていないのに握りつぶすかの如く、力を込めて。