姫は救うと微笑み、神は殺すと無邪気に言った
「それでも、あなただって人を救うのですね」
拳が解かれる言葉を聞いてしまった。
不可解な眼差しを向ければ、笑い返される。
「確かに生きるのは生易しくなんかありませんが、幸福な分、苦悩が目立つもその逆だってあり得るんですよ。『あの時に死んでおけば良かった』と思うかもしれません、ですが、それは同時に『あの時に死ななくて良かった』と思えることだってある。
あなたは己が楽しみのために動いたつもりでも、その方は“助かった”でしょう。一度死に、また産まれたほどに生の有り難さを知ったと思いますがね」