姫は救うと微笑み、神は殺すと無邪気に言った
「面倒なことだ。どうなるかも分からない他がために動くとは」
茶神にとっては気が遠くなるほどにあり得ない話だった。
自分以外は玩具であり、敵と見る茶神の行動理由など、全て自分のためでしかない。
「面白くも何ともない。生死の境を見る機会があるくせに、すんなりと助けようとするのだから」
「面白いかどうかで判断はしませんよ。やるべきかやらないべきか。これだけであり、私の場合は助けるに天秤が傾くだけですから」
「そう。“全人類の毒”のくせに、皆殺しはしないのか」
「……」
カップを持とうとする姫の手が止まる。
どこでこの少年が姫の真価を知ったか考え――ああ、ここに対面させた“主催者”が教えたのだろうと予想する。