無口な彼が残業する理由 新装版
慣れない青木の熱視線と、責めるような丸山くんの冷視線。
仕事がやりづらくって仕方がない。
「なぁ、神坂」
青木がちょくちょく私に構ってくるのは変わらないけれど、
そこに気持ちがあると知ってしまってはあしらい方に迷いが生じる。
そしてそんな私たちを不機嫌さを含む無表情でチラ見している丸山くん。
周りには何人も社員がいるけれど、
三人だけに流れるこの煮詰まった空気に耐えられない。
さっき青木を呼び出して話を聞いた。
それがあんな事態になってしまったわけだけど、
思い切って丸山くんからも話を聞いてみよう。
私は青木には気がないよって、伝えておこう。
意気込んで、立ち上がった。
「ねえ、丸山くん」