無口な彼が残業する理由 新装版
背後から声をかけると、冷めた目で見上げられる。
「何?」
見上げると丸くなる目元にキュンとする。
「ちょっといい?」
だけど私の胸キュンは見事に打ち砕かれた。
「なんで?」
眉間にシワを携えたその表情。
無表情ではなく、明らかに嫌悪を顔に出している。
拒絶された。
そう感じた。
ゾクリと背筋が凍った気がした。
ショックで頭がぐらつく。
「なんでって……なんで、だろ」
話くらい聞いてくれると思っていた私が甘かったの?
そんなにも、私のこと、憎んでるの?
鼻の奥がツンとする。
これくらいで泣いたらダメだ。
丸山くんはきっと、私なんかよりずっと泣きたいんだから。