無口な彼が残業する理由 新装版
本人に聞きたくないから青木に聞いているのに。
ふくれっ面で青木を睨めば、
怒り交じりのため息を漏らしやがった。
「お前ら、くっついたんじゃなかったのかよ。朝から仲良く出社しやがって」
「くっついてたら聞かないし」
「ったく、あのヘタレが」
私の好きな人にヘタレだなんて失礼な。
丸山くんはむしろ大人しいふりをした野獣だ。
付き合ってもいない女に手を出す獣だ。
そのくせ好きだとは言わないズルい男だ。
「鈍感バカなお前は気付いてないみたいだけどなぁ、丸山がお前のこと好きだとか、もはや周知の事実なんだっつーの」
「……は?」
周知の事実?
いやいや、私知らないし。