無口な彼が残業する理由 新装版
「は?」
思わず間抜けな声が出る。
顔をしかめると、丸山くんも同じように顔をしかめる。
だけど、何も言わない。
じっと私の言葉を待っている。
「付き合ってるわけがないじゃない」
キッパリ言い放つと、丸山くんは気が抜けたような顔をして目を逸らしてしまった。
そして、
「あ、そ」
無愛想な反応。
……ていうか、青木って。
あの青木って。
「何で青木?」
「仲、良いから」
確かに仲は良いけれども。
だけどそれはただ同期で同僚というだけなのに。