無口な彼が残業する理由 新装版
青木は確かに良いやつだし、顔だって悪くはないし、
飲みに行けば愚痴だって聞いてくれる。
ちょっと偉そうだけど、本当は優しい性格であることも知っている。
でも。
「青木はただの友達」
付き合うなんて、考えたこともない。
青木に失礼かもしれないけど、心外だ。
「あのさ」
また、丸山くんが私に声をかけた。
「なに?」
なんだか興味を持ってくれているような気がしてドキドキする。
同期だけど、こんなに話したことはなかった。
「帰れば?」