無口な彼が残業する理由 新装版
「そう。なら良いけど」
丸山くんはそう言って立ち上がった。
私もバッグを持って立ち上がる。
大変お世話になったのに、ここでぶり返してしまっては恩を仇で返すようなものだ。
丸山くんの手慣れた施錠作業に付き合って、
二人ですぐそこの居酒屋に向かう。
朝からあんな雰囲気になったし、
二人になった時にでも何かあるのかな。
例えば、ハグとかキスとか。
なんてちょっと思ったりしたけれど、何もない。
いつもの無口で無表情で無愛想な丸山くんだった。
ふん。
別に期待してないし。
というのは、嘘だけど。
何考えてるか、わからない。