無口な彼が残業する理由 新装版
「そうかな? 結構自分勝手なところもあるんだよ」
そんな部分までは知らないでしょう?
ううん。
知らないでいて。
「あー、確かに。割と有無を言わさないところ、ありますよね」
愛華ちゃんはにっこり笑って肯定した。
自分勝手な部分も見せたんだ。
この子にも、見せたんだ。
ふーん、なるほどね。
愛華ちゃん、可愛いもんね。
私と違って、ふわふわしてて女の子らしいし。
「でも、やっぱり優しかったですよ。ちゃんと家まで送り届けてくれましたし」
ふーん、そうなんだ。
雨が降ってなくても、熱がなくても、
愛華ちゃんなら送るんだ。
丸山くんは病み上がりの私を放置して愛華ちゃんを選んだんだ。