無口な彼が残業する理由 新装版

小悪魔、降臨。

「理沙先輩、課長さんが呼んでましたよ」

こんなときに限って現れるから不思議だ。

そういう巡り合わせなのだろうか。

「あ、うん」

私はカチャカチャと化粧品を片付ける。

「理沙先輩。プレゼン、楽しみにしてます。頑張って下さいね!」

愛華ちゃんは邪気のないとびきりの笑顔で応援してくれる。

「ありがとう。頑張るよ」

彼女に罪は何もないけれど、胸の中に生まれる鉛のような感情。

嫉妬とは気分を落とす特効薬だ。

平常心、平常心。

大事なプレゼンなのに、

失恋を引きずるわけにはいかない。

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