無口な彼が残業する理由 新装版

無言で突っ立つ丸山くん。

見ないようにしていたのに。

「そりゃあ、言いたいことはたくさんありますけど」

「それなら、ここ使え」

気を効かせた課長が部屋を出る。

広い第一会議室は私と丸山くん、

二人だけの空間になった。

何とも言えない沈黙が私たちを包む。

丸山くんはゆっくり歩いて、

長机に腰を下ろした。

「驚いた?」

静かな声は広い会議室に響く。

「驚いたよ」

驚いたってもんじゃない。

何が起こっているのか理解するのに時間がかかった。

「ねぇ、いつの間に作ったの?」

いくら未完成と言っても、

1日や2日で作ったようなクオリティーではなかった。

今週にでも公開できるくらい、

完成されていた。



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