無口な彼が残業する理由 新装版

適当な居酒屋で乾杯をして、

いつもならゆっくり愚痴を言い合ったりバカな話で盛り上がるけれど、

今日ばかりは早々に食事を済ませてホテルに戻った。

「青木、ほんとにありがとね」

部屋に入る前にそう言うと、

青木はちょっと照れたような顔をした。

「どういたしまして」

「明日はチェックアウトギリギリまで寝て、それからゆっくり出かけようか」

「だな」

そう約束して、それぞれの部屋に入る。

狭いビジネスホテルの部屋。

豪快に服を脱いでユニットバスに駆け込んで、

一日、いや、三日間の疲れとメイクを洗い流した。

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