無口な彼が残業する理由 新装版
疲れた体が眠りへと向かい始めた時、
マナーモードにしたままの携帯が鳴りだした。
バイブレーションの音が枕越しに脳天に響く。
丸山くんだ。
単純な私はベッドから飛び起きて通話ボタンを押す。
「もしもし!」
東京と繋がった電話からは、ガヤガヤと雑音が伝わってきた。
「ごめん、気付かなかった」
穏やかな口調に、泣きそうになった。
「ううん、いいの。忙しかった?」
「いや、飲んでた」
「……そうなんだ。会社のみんな?」
「ああ、まあ。ウェブ課のみんな」
後ろの方で笑い声が聞こえる。
きっと菊池さんがまた何か面白いことをやってるんだと
容易に想像がつく。