無口な彼が残業する理由 新装版

だったら、私にもチャンスはあるのかな。

「ありがと。楽になったみたい」

「うん」

恥ずかしいけれど。

めちゃくちゃ恥ずかしいけれど。

この時間が丸山くんにとって私をただの同僚ではなく一人の女として

認識してもらえるきっかけになりますように。

「じゃ、交代ね」

立ち上がって今度は丸山くんを座らせる。

私の小さくて爪の伸びた手じゃ大して楽にしてあげられないかもしれないけれど、

触れることによって親近感を抱いてもらえますように。

「ふふっ、凝ってるじゃん」

「……っ、みたいだな」

丸山くんの肩は想像していたより大きい。

私は後ろから抱き付きたくなるのを必死でこらえた。



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