無口な彼が残業する理由 新装版
キスは丸山くんの意思表示。
私を黙らせたいときの常套手段だ。
丸山くんは満足そうに笑って席を立つ。
そんな手になんて乗ってあげないんだから。
「もうっ! 報連相って言葉を知らないわけ?」
「ちゃんと相談するよ。時期が来たら、ね?」
「時期っていつよっ?」
私の問いはスルーして自分の席に戻ると、サッと荷物を抱えて
「帰ろう」
と促す。
いや、誤魔化す。
絶対に何か企んでるんだ。
「何考えてるの? 教えてよ」
丸山くんは私の手を取って、
「俺はいつだって、理沙のことばかり考えてる」
私の心を鷲掴みにするだけだった。