無口な彼が残業する理由 新装版

キスは丸山くんの意思表示。

私を黙らせたいときの常套手段だ。

丸山くんは満足そうに笑って席を立つ。

そんな手になんて乗ってあげないんだから。

「もうっ! 報連相って言葉を知らないわけ?」

「ちゃんと相談するよ。時期が来たら、ね?」

「時期っていつよっ?」

私の問いはスルーして自分の席に戻ると、サッと荷物を抱えて

「帰ろう」

と促す。

いや、誤魔化す。

絶対に何か企んでるんだ。

「何考えてるの? 教えてよ」

丸山くんは私の手を取って、

「俺はいつだって、理沙のことばかり考えてる」

私の心を鷲掴みにするだけだった。

< 364 / 382 >

この作品をシェア

pagetop