無口な彼が残業する理由 新装版
それから、数日。
新たに2社から良い返事を貰えたが、
新サイトの立ち上げ条件にはあと一歩届かぬまま期限ばかりが近づいていた。
そろそろお手上げだ。
若輩者で何のコネも人脈もない私に出来ることはやり尽くした。
頼みの綱は、丸山くんの余裕の表情くらいかもしれない。
そう思ってため息をついたとき。
「神坂!」
事務所に飛び込んできた青木が、息を切らしながら大声で呼ぶ。
「何よ? 大声出して」
青木は何かを恐れているような顔をしている。
「早く来い。大変なことになった!」