無口な彼が残業する理由 新装版
会議室には、いつの間にかほとんどの人がいなくなっていた。
なかなか整理がつかず、夢が叶った実感がない。
広い会議室を眺めていると、何にもリアルさを感じない。
それこそ夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。
最後に残っているのは、私と丸山くんと、
課長と菊池さんだった。
「やったね、神坂」
菊池さんが私に抱きついた。
「頑張ったもんね!」
菊池さんの声が震えてる。
あのパワフルな菊池さんが涙ぐんでいるのを見て、
私にも涙のお裾分けがきてしまう。
「はい……でも、私、よくわかってなくて」
菊池さんは丸山くんの背中をバシッと叩き、
「こいつにゆっくり聞けばいいよ」
と言って会議室を出た。