無口な彼が残業する理由 新装版
「神坂、丸山」
課長が穏やかに笑っていた。
珍しくチャラさの欠片もない。
「とりあえず、おめでとう」
「ありがとうございます」
課長もこのことを知らなかったそうだから、
きっと驚いただろうな。
慌てて青木をよこしたくらいだもんね。
「それから、丸山」
「はい」
「せめて俺には報告しといてくれよ」
課長は丸山くんに軽く拳を当てる。
「……申し訳ありませんでした」
「心臓が止まるかと思ったんだからな」
そして、課長も出て行った。
いつかのプレゼンを思い出す。
会議室には、私と丸山くんだけになった。