無口な彼が残業する理由 新装版

丸山くんは驚いた顔をした。

「そんなつもりはない」

そう言いたいんだろう。

戸惑いで気が収まらない私は、

彼が無口なのをいいことにまくしたてる。

「丸山くん、それだけの力があるならもっとバリバリ頑張ればいいのに。私の企画なんかに構ってないで、自分でもっと開発していけばいいのに。そうしたら、きっと……」

「それは、違う」

いつもより少し強い口調で遮られた。

私はいつの間にか鼻声になっている。

「俺はただ、神坂さんの企画を成功させたかっただけだよ」

「私の企画はこんなに大きくなかったもん」

「成功させるために、必要な手段だった」

新サイトの拡大も?

部課長会議に乗り込むことも?

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