無口な彼が残業する理由 新装版
丸山くんはまた一歩私に近づいてきた。
そしてもう一歩進んだところで私たちの距離はゼロになる。
涼しい香りに包まれてしまうと、
私の方が無口になってしまう。
「俺、思うんだけどさ」
「……うん」
「俺と神坂さんが一緒だったら、きっと最強なんだよ」
「最強?」
「神坂さんが企画して、俺が成功するよう工夫して。そうすればきっと、何でもできる」
「そう、かな?」
顔を上げた私に、丸山くんは微笑んだ。
「少なくとも俺は今、そう思ってる」
そうだね。
そうかもしれない。
私もそう思えてきた。
だから。
「だったら、ずっと一緒にいなきゃね」
丸山くんの腕が、キュッときつくなる。
「俺はとっくに、そのつもりでいるよ」