無口な彼が残業する理由 新装版
「え? ほんとだよ? どうかした?」
「……別に」
私の夢を叶えてくれた丸山くん。
無事に前の仕事を引き継いだ彼は、最近あまり残業をしなくなった。
だけど。
「俺、今日は残って仕事する」
「丸山くんが残るの、久しぶりだね。 私はいっつも残ってるけど」
新サイトが始動して、私たちの残業には手当が付くようになった。
夢のステージに上がれたご褒美だ。
「理沙」
たまに名前で呼ばれることには、まだ慣れていない。
「何?」
「俺、頑張るよ」
「何を?」
私もいつか、彼を名前で呼ぶ日が来るだろうか。
fin.


