無口な彼が残業する理由 新装版
グイッと引き寄せられ、キャスター付きの椅子ごと丸山くんに近付いた。
視界が暗くなり、ほんのり涼しげな香りがする。
温かいものに包まれている。
どうやら丸山くんが私を抱き締めてくれているらしい。
椅子に座った状態で前のめりの態勢。
不安定な態勢は、崩れるともっと密着しそうだ。
涙腺に続いて、心臓崩壊。
どうしよう。
いいのかな?
甘えちゃっていいのかな?
もう、ダメだ。
好きすぎる。
丸山くんが、好きすぎる。
私は感情を抑えきれなくなって、
泣きながら丸山くんの背中に腕を回し、
力一杯抱き付いた。