無口な彼が残業する理由 新装版
ふと丸山くんの方に目を向けると
バッチリ目が合ってしまった。
だけど、すぐに逸らされてしまう。
さっきの菊池さんとの会話、聞こえてたのかな。
その上で、俺には頼まないでくれってことなのかな。
安心して、丸山くん。
ただでさえ遅くまで頑張ってる丸山くんに押し付けたりしないよ。
「なー、神坂」
気だるげな青木の声。
「何よ。考え事してるんだから邪魔しないで」
「もう今日は良いじゃん。飲み行かねぇ?」
そういえば最近お酒も全然飲んでないな。
「そうだね、たまには行こうか」
明日も仕事だから深酒はできないけど、
青木に手伝ってもらってるお礼がしたいし。